NPO法人キッズドア

先日NPO法人キッズドア代表の渡辺由美子さんの講演を聞いたので感想を書いていきます。キッズドアは主に貧困家庭の子供への支援事業をしています。日本において貧困があることが信じられない人は多いかもしれませんが(私も正直驚きました)、子供のうち約15%が貧困にあります。また一人親世帯の50%が貧困にあります。

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もちろん貧困という定義は色々あるでしょうが、一つ問題なのは格差であり、親の所得によって子の所得が決まってくるという現実があります。塾に行けない、パソコンを持っていない、十分な栄養が取れていない、勉強できる環境にないことは子供の将来にとって致命的なマイナス要因になってしまいます。

キッズドアでは高校受験対策の勉強を教えたり、中退を防止するために学習スペースを提供したり、食事を提供しています。渡辺さんの言葉で印象的だったのは、親となる世代が「子供を持つことは贅沢」と考えていたり、支援する子供が「大学生を初めて見た」といっていたことです。自分たちの生活で生きることに精一杯であれば、子供を持つ余裕などないことは自明です。

国や地方自治体は子供を産んだ世帯に支援をしたり、まして三人以上子供を持ったら支援をするという発想はかなりずれていることは明白です。子供を持っても生活できるという安心感が必要であり、三人以上なんて論外です。本来キッズドアがやっている支援事業は国や地方自治体がすべきなのに、その義務を放棄しているようにすら思います。

国レベルにとって教育とは投資であり、未来への希望です。それをないがしろにする国家は必ず衰退します。そもそも日本の教育に対する公的支出額はOECDの中でも下位にあります。学力が下がったと嘆かれますが、投資額が少ないのなら当然です。むしろ低予算にも関わらず現場の先生方の努力が見えます。

個人的に貧困に関して思うことは、お偉いさん方は一億総中流という過去の幻想に束縛されているのではないかと思います。一般家庭ならこれくらいの金を支払える、一般家庭なら子供に普通の躾ができる、一般家庭なら栄養のある食事ができる等等。中流から弾かれた人は見ない、相手にしない、自己責任など、そういう意識があるのではないかと思います。見たくない現実こそ見るべきです。

 

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